銀色の月は太陽の隣で笑う

フォークやスプーンと一緒にお盆に載せて、キッチンの隣にある部屋まで運ぶと、少女は席に着く。

食べ始める前に、用意した一人分の朝食に視線を落とし、それから窓の向こうを見つめる。

しばらくどうしようかと迷ったが、浮かんできたトーマは気持ちよさそうに目を閉じていたので、少女は窓から視線を外して食事を始めた。

初めに、スプーンを掴んでスープの器を引き寄せる。

前の晩に仕込んでおいた甲斐あって、野菜も肉もとても柔らかく、またいい出汁が出たスープは、胡椒がピリッと効いていてとても美味しい。

一口ずつちぎりながらパンを食べると、次はオムレツ。

フォークで切って口に運ぶと、中は半熟でフワッと仕上がった卵は、塩と胡椒のシンプルな味付けとバターのコクが広がる。

時折顔を上げて窓の向こうを眺めながら、少女は黙々と食事を進めていく。

いつもと同じ外の景色、何の変哲もないその光景を、今日は少しドキドキしながら眺める。

天気は快晴、風も穏やかで、気温は昨日と同じに温かい。

外でのティータイムには絶好の日和だ。

朝食を食べ終えて食器を片付けた少女は、すぐさま掃除に取り掛かる。
< 21 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop