銀色の月は太陽の隣で笑う
出会った時のように、トーマは後ろに立つルウンにビックリして声を上げる。
何か言うべきだろうか、だとしたら何を言うべきだろうか。考え込みながら徐々に俯いていくルウンを、トーマはしばらく黙って見つめた。
そして――
「ちょっと話があるんだけど、いいかな……?」
先に、トーマの方が切り出した。
「片付け終わってからでいいんだ、急ぎじゃないから。あっ、僕がやるよ」
伸ばされた手にふるふると首を横に振り、ルウンは食器をシンクに置いて水を張っておく。
「いいの?」
片付けは、という意味を込めた問いかけに、ルウンは頷きで答える。
「じゃあ……向こうで。家の中で立ち話もなんだしね」
笑っているのに、その笑顔はどこかぎこちない。それは、いつものトーマの温かい笑顔ではない。
それにまた不安を感じつつ、ルウンは歩き出したトーマのあとに続いた。
先ほど無言の朝食を終えたばかりのテーブルに戻り、二人はそれぞれの席に腰を下ろす。
ルウンの中には、言い知れぬ不安が渦巻いていた。