銀色の月は太陽の隣で笑う
頭から布団を被った暗闇の中、手足をギュッと胸元に寄せて、まるでアルマジロのように丸くなる。
突然泣き出したルウンに初めは戸惑っていたトーマだが、ほどなくしてポケットから取り出したハンカチをテーブルに置くと、気を利かせたようにそのままキッチンへと向かった。
置きっぱなしにしていた食器を洗い始める音が聞こえると、ルウンは逃げるようにして寝室へ飛び込む。
布団に潜り込んでから、トーマが置いていってくれたハンカチをテーブルの上に忘れてきた事に気づいたが、今更取りに行く勇気はない。
流れ落ちる涙を袖口で拭って、ルウンは鼻を啜り上げる。
泣くつもりなんてなかった。それなのに、気づいたら涙がこみ上げてきて、抑えられなかった。
拭い取るのも億劫になってきた涙をそのままにしていたら、頬を伝ってシーツにどんどん染みていく。
声を抑えてぽろぽろと涙を零しているうちに、体が鉛のように重たくなってきた。
体から水分が流れ出ているのだから軽くなってもいいはずなのに、体はどんどん重たくなる。目を開けているのも辛い程に、瞼さえずっしりと重たくて、ルウンは抗いきれずに目を閉じた。
閉じた目の端から零れた涙が、スーっと頬にあとを残してシーツに落ちる。
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