銀色の月は太陽の隣で笑う

頭から布団を被った暗闇の中、手足をギュッと胸元に寄せて、まるでアルマジロのように丸くなる。

突然泣き出したルウンに初めは戸惑っていたトーマだが、ほどなくしてポケットから取り出したハンカチをテーブルに置くと、気を利かせたようにそのままキッチンへと向かった。

置きっぱなしにしていた食器を洗い始める音が聞こえると、ルウンは逃げるようにして寝室へ飛び込む。

布団に潜り込んでから、トーマが置いていってくれたハンカチをテーブルの上に忘れてきた事に気づいたが、今更取りに行く勇気はない。

流れ落ちる涙を袖口で拭って、ルウンは鼻を啜り上げる。

泣くつもりなんてなかった。それなのに、気づいたら涙がこみ上げてきて、抑えられなかった。

拭い取るのも億劫になってきた涙をそのままにしていたら、頬を伝ってシーツにどんどん染みていく。

声を抑えてぽろぽろと涙を零しているうちに、体が鉛のように重たくなってきた。

体から水分が流れ出ているのだから軽くなってもいいはずなのに、体はどんどん重たくなる。目を開けているのも辛い程に、瞼さえずっしりと重たくて、ルウンは抗いきれずに目を閉じた。

閉じた目の端から零れた涙が、スーっと頬にあとを残してシーツに落ちる。






< 213 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop