銀色の月は太陽の隣で笑う

きっととても簡単なことのはずなのに、それが分からないことがモヤモヤする。

それでも、当たり前に朝はやってきて、当然のようにお腹は空く。

厚めに切って軽くトーストしたパンに、レタスとハムとトマトとチーズを挟んで作ったオープンサンド。スープはコンソメ。バターで炒めた薄切りタマネギを入れて、粉末のチーズをたっぷり振ったら完成。

出来上がった朝食をテーブルに運ぶと、視界の端に白い物が映った。

テーブルの端の方、寝室に近い方の位置に置いてあるそれは、一枚の紙。

寝室からキッチンに向かう時は、屋根裏ばかり気にしていて気づかなかったが、よく見ればそこには何かが書いてある。

見覚えのあるトーマの文字のようだが、そのミミズがのたくったような文字は、ルウンにはさっぱり読めない。

両手に持っていた朝食の皿を一旦置いて、今一度手に取ってじっくりと眺める。

それでもやっぱり読めないものは読めないのだが、途端にルウンの中に言い知れぬ不安がこみ上げた。

手にした紙から階段へ、その上にある屋根裏を見据えるように視線を移し、ルウンは階段を駆け上がる。
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