銀色の月は太陽の隣で笑う

お昼を少しばかり過ぎた頃、テーブルの上に残された一人分の朝食を見つめて、ルウンは何をするでもなくただぼんやりと椅子に座っていた。

皿の隣にはトーマが置いていった紙が並べてあるが、それはルウンが何度も何度も手に取ったおかげで、朝見つけた時より少しクシャっとしている。

それでもやっぱり読めないことがルウンの不安を増長させ、お昼を過ぎても姿が見えないことが、それに拍車をかけていた。

書かれているのは自分に向けたメッセージであると、そこまでは読めなくても分かる。けれど肝心の内容が分からなければ、それだけ分かっても意味はない。

もうすぐ、お茶の時間になる。

それなのにトーマはここにいなくて、代わりのように何かが記された紙だけがポツンと置いてある。

ルウンがぼんやりとしたまま窓へ視線を移すと、灰色と白の雲が青い中に散らばり、久しぶりの晴れた空を喜ぶように、鳥達が賑やかに鳴き交わしていた。


「トウマ……」


ポツリと名前を呼んでみる。けれど、その呼びかけに応える声はない。
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