銀色の月は太陽の隣で笑う


「……でもね、もしも…………もしも、ルンが許してくれるなら」


言いづらそうなトーマの背中を押すように、ルウンはまたコクりと頷いて見せた。

トーマの瞳は真っ直ぐにルウンに向いていて、ルウンの瞳もまた、真っ直ぐにトーマの姿を映している。


「ここに……帰ってきても、いいかな?……きっと僕は、また何度でも旅に出ると思う。でもその度に、何度でも、帰ってきていいかな……?」


嬉しかった。寂しさももちろんあるけれど、それを上回る程に、ルウンは嬉しかった。

だからルウンは、返事の代わりにもう一度トーマに抱きつく。

でも、トーマが返事を待って困惑していることに気がついたから、顔を上げてちゃんと頷いた。


「……帰ってきて。何度でも」


例えその度に、新しい別れが待っているのだとしても。何度だって、迎えようと思った。

別れの時は、きっと何度繰り返したって寂しいけれど、それが永遠の別れでないのなら、何度だって耐えられる。


「あのね、トウマにね、言いたいことある」

「奇遇だね、僕もだよ」
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