銀色の月は太陽の隣で笑う

トーマのその様子を、少女は洋館の中からジッと見つめていた。

先程から何度か顔を上げるたび、目が合うのではないかとドキドキしていたのだが、トーマはすぐさま下を向いてまた手を動かしている。

なんだか楽しそうなその様子をしばらく眺めて、少女は窓辺を離れてキッチンに向かった。

もうすぐ、お茶の時間になる。

一日の仕事を一通り終えたところで、昼食とその日の気分で淹れたお茶を、天気のいい日は外で楽しむのが少女の日課であり、一日の中で一番好きな時間でもあった。

少女はキッチンに立ち、調理台の上に作り付けられた棚を見つめる。

今日のお茶は何にしようか――人差し指を棚の端から端まで行ったり来たりさせて、少女は迷う。

あっちにしようか、それともこっちにしようか、散々迷った挙句に少女が選んだのは、茶葉の中に乾燥させたバラの花びらがたっぷり入ったもの。

瓶の蓋を開けると、バラの香りがふわっと広がった。

先に火にかけておいたヤカンの様子を見ながら、ティーポットにスプーンで二杯の茶葉を入れていく。
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