銀色の月は太陽の隣で笑う
「キミのお昼?」
頷こうとして、でもそれだけではないからふるふると首を横に振って、少女は困ったようにテーブルとトーマとを交互に見つめる。
誰かを誘ったことなんて今まで一度もないから、こんな時になんと言っていいかが分からなかった。
困りきった少女の顔からテーブルに視線を移し、それからまた少女に視線を戻したトーマは、おずおずと口を開く。
「もしかして……僕も、一緒にいいの?」
困り顔から表情を一変させて、少女は勢い込んで何度も頷く。
自分の言いたかった事が伝わって、とても嬉しかった。
トーマもまた、少女が頷いた途端にぱあっと表情を輝かせる。
「嬉しいよ、ありがとう!実は物凄くお腹が減っていたんだ。遠慮なく、お言葉に甘えさせてもらうね」
またコクっと頷いて、少女は先に立って歩き出す。
そのあとを、のんびりと立ち上がったトーマが追った。
先にテーブルの前に着いた少女は、そこに椅子が一脚しかないことに気がついてハッとする。