銀色の月は太陽の隣で笑う
今日は迷わず地面に腰を下ろしたルウンは、早速ティーポットを揺らして中身をカップに注いでいく。
ふわりと、爽やかな香りが立ち上った。
「今日は、鼻にスーっと通るような香りだね。すごく頭がスッキリしそう」
ルウンはコクっと頷いて、お茶の入ったカップをトーマに差し出す。
「ありがとう」
カップを受け取って、トーマは改めて立ち上る湯気を吸い込んだ。
鼻から喉へと、駆け抜けていくような爽快感があり、カップを傾けて中身を口に含むと、どこか薬草っぽいような中に、ほのかな甘さが感じられた。
「うん、美味しい」
カップを下ろして頬笑みかければ、ルウンが照れくさそうに視線を逸らした。
「今日は、なんのお茶なの?」
ルウンは視線を逸らしたままで、小さく口を開く。
「……ミント」
答えを聞いてからもう一口飲んで、トーマはカップを置いた。
「ミントのお茶って、すごく清涼感があるから眠気覚ましなんかにピッタリだって聞いたことがあったけど、飲むのはこれが初めてだよ。なるほど、噂に違わない味だね」