銀色の月は太陽の隣で笑う
楽しそうに笑ってカップを覗き込むトーマの瞳は、初めてルウンを見た時と同じ、驚きと喜びと無邪気な興奮に満ちていた。
そんなトーマの前に、ルウンはおずおずとバスケットを押し出す。
「ん?」
カップから視線を移したトーマの瞳が、それに気づいて見る間に嬉しそうに見開かれた。
「サンドイッチ!」
子供みたいにはしゃいだ声を上げたトーマは、「頂いていいの?」と聞きながら早速手を伸ばす。
ルウンはコクっと頷いて、また少しバスケットを押した。
「嬉しいな。僕サンドイッチ好きなんだよ。片手で食べられるから、いつでも思いついたことをメモ出来るところが凄くいい」
トーマが大きく口を開けてサンドイッチにかぶりつくと、軽くトーストされたパンがカリッと小気味いい音を立てた。
中身はトマトにキュウリにハムとシンプルで、そこにケチャップとマヨネーズを混ぜたソースをかけてある。
トーマに続くようにして、ルウンも小さな口でサンドイッチを齧った。