銀色の月は太陽の隣で笑う

二人がサンドイッチを頬張る脇のテーブルでは、ルウンがまいたパンの欠片を、鳥達が一心に啄んでいる。


「うん、美味しい!今日も凄く美味しいよ」


唇の端についたソースを指先で拭い取りながら、トーマは美味しい、美味しいと繰り返す。

はぐはぐとサンドイッチを齧りながら、ルウンは照れたように僅かに頬を染めた。

それからは無心でサンドイッチにかぶりつくトーマに習って、ルウンも一心にサンドイッチを頬張る。

特に会話はないが、かと言って気まずさもない。

午後の柔らかい日差しの下、枝葉を揺らす風の音と、鳥がパンを啄む微かな音だけが、二人の間にある静寂を和らげる。

先に食べ終えたトーマは、残っていたお茶をゆったりと味わいながら、目の前にいるルウンの姿を眺めた。

両手で持ったサンドイッチを、端からはぐはぐと齧っていく姿はまるで小動物。


「最初は猫みたいだなって思ったけど……どっちかって言うと、ルンはリスだね」


唐突なトーマの言葉に、顔を上げたルウンは、サンドイッチを咥えたままの格好で首を傾げる。
< 46 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop