銀色の月は太陽の隣で笑う
二人がサンドイッチを頬張る脇のテーブルでは、ルウンがまいたパンの欠片を、鳥達が一心に啄んでいる。
「うん、美味しい!今日も凄く美味しいよ」
唇の端についたソースを指先で拭い取りながら、トーマは美味しい、美味しいと繰り返す。
はぐはぐとサンドイッチを齧りながら、ルウンは照れたように僅かに頬を染めた。
それからは無心でサンドイッチにかぶりつくトーマに習って、ルウンも一心にサンドイッチを頬張る。
特に会話はないが、かと言って気まずさもない。
午後の柔らかい日差しの下、枝葉を揺らす風の音と、鳥がパンを啄む微かな音だけが、二人の間にある静寂を和らげる。
先に食べ終えたトーマは、残っていたお茶をゆったりと味わいながら、目の前にいるルウンの姿を眺めた。
両手で持ったサンドイッチを、端からはぐはぐと齧っていく姿はまるで小動物。
「最初は猫みたいだなって思ったけど……どっちかって言うと、ルンはリスだね」
唐突なトーマの言葉に、顔を上げたルウンは、サンドイッチを咥えたままの格好で首を傾げる。