銀色の月は太陽の隣で笑う
その姿もまた、トーマにしてみればどことなくリスっぽかった。
「そういう何気ない仕草がさ、小動物みたいだなって」
クスリと笑うトーマに、ルウンはますます首を傾げる。
「さてと、今日はなにを聞こうかな」
それをまた可笑しそうに笑って見つめながら、トーマは持ってきていたバッグを膝に乗せて、中から愛用の古びたノートを取り出す。
楽しげに持ち上がったその口角を眺めながら、ルウンはサンドイッチの最後の一口を飲み込んだ。
「うーん、そうだな……」
時折お茶を飲みながら真剣な顔で考え込んでいるトーマをジッと見つめて、ルウンもまたカップを傾ける。
トーマが考え込んで口を閉じると、あとに残るのは、ペラリペラリと規則正しくノートを捲る音と、鳥達のくちばしがトントンとテーブルを叩く音だけ。
すっかりお腹が満たされたルウンを、ぽかぽかと温かい日差しが照らす。
不意に、ルウンの口からあくびが零れ落ちた。
「……ルン?」
名前を呼ばれて顔を上げれば、トーマが僅かに俯いたルウンの顔を覗き込んでいた。