銀色の月は太陽の隣で笑う
頭の上から聞こえてくる鳥達の声に、ルウンの意識がゆったりと浮上する。
開いた目を何度か瞬いてみると、視界が少し斜めになっていた。
ぼんやりした頭でしばらく考えて、体が斜めになっていることに気がついたルウンは、ゆらりと体を起こす。
見上げれば空は既に茜色に染まっていて、巣に戻る鳥達の姿が遠くに見える。
視線を足元に移せば広げたままのティーセットがあって、そこから徐々に視線を上げたルウンは、自分の向かい側を見つめて二、三度目を瞬く。
そこに、あるはずのものがない。
いや、いるはずの人物がいない。
寝起きでぼんやりしていた頭が段々と覚醒してきて、ルウンは大きく目を見開く。
それから、消えてしまったトーマの行方を探そうと首を巡らせて、横を向いた瞬間に動きを止めた。
自分の真横、肩が触れ合いそうな程近くにトーマがいて、その体は斜めに傾いている。
テーブルの縁に頭を預けた状態で目を閉じて、安らかな寝息を立てるその姿に、ルウンは息を呑んだ。
そこで、はたと気がつく。