銀色の月は太陽の隣で笑う
振り返って訝しげな表情を浮かべるルウンに、掃除を嫌がっていると思われないように、トーマは慌てて付け加える。
ルウンは不思議そうに首を傾げたまま階段を上りきると、あとから来たトーマに場所を譲るように脇にどけてから口を開いた。
「ここしか……空いている部屋、ない」
上りきった先でトーマが見たのは、雑多に物が置かれていて、その全てが分厚い埃を被っている屋根裏部屋の物置だった。
「ここなら屋根、ある」
確かに、屋根はある。
何しろ見上げた先はすぐ屋根だ。
ポカンと立ち尽くすトーマを、ルウンは不安げに見やる。
「……ここじゃ、嫌?」
ハッとして我に返ったトーマは、不安げに自分を見つめるルウンに、大げさなほどに首を横に振ってみせた。
「そんなことないよ!正直、屋根があるなら納屋でも牛小屋でも、なんなら壁がないところだって構わなかったんだ。だから、こんなにいい部屋を貸してもらえて、ビックリしただけ」
我に返った途端、トーマは嬉しそうに部屋の中を見渡して、興味深そうに置いてある物を観察し始める。