銀色の月は太陽の隣で笑う
あまり熱心になりすぎたせいで体が前のめりになってしまい、近づきすぎた青年の手元に白銀の髪がひと房、肩を伝って滑り落ちる。
突然視界に飛び込んできた白銀に、青年はようやく驚いたように顔を跳ね上げた。
「おわっ!?」
すぐ後ろから自分の手元を覗き込む少女の姿に、青年は驚いてのけぞる。
その声に少女もまた、驚いて素早く身を引いた。
「ビックリした……」
呟いた青年は、気持ちを落ち着けるように、ふうと一つ息を吐く。
そして今度は、新鮮で濃厚な緑の匂いと、昼間よりも幾分温度の下がった空気を吸い込んだ。
その様子をジッと見つめたまま、少女はジリジリと密かに後ずさる。
青年は、先ほどよりやや離れたところにいる少女に、改めて向き直った。
「大きな声を出してしまってごめんね。でも、また会えて良かった。どうしてもキミに謝りたかったんだ、昼間の事」
未だティーセットとバスケットが載ったままのテーブルにチラッと視線を送って、青年は申し訳なさそうに頭をかく。