銀色の月は太陽の隣で笑う
「ルン、これからは僕にも色々手伝わせてね。こんなにお世話になっているのに、なりっぱなしじゃ申し訳ないから」
またしても応え方の分からない言葉をかけられ、ルウンは黙り込む。
けれど、自分を見つめるトーマが明らかに返事を待っているから、迷った末にルウンは、おずおずと頷いて見せた。
トーマの笑みが、一層深くなる。
「ひとまずは、二階の掃除だね。とりあえず、今日寝る場所だけは確保しておかないと」
それから、あっという間に食事を平らげていくトーマに遅れを取るまいと、ルウンも小さな口で一生懸命にパンを頬張る。
「ルンはゆっくり食べて。僕はまだ、自分の仕事が終わってないから急いでいるだけだから」
そう言ってカップの中身を一息に飲み干したトーマは、「今日もすごく美味しかった。ありがとう」と笑顔を残して席を立つ。
「食器は、向こうでいいのかな?」
皿を手にキッチンの方を視線で示すトーマに、ルウンはふるふると首を横に振ってから、テーブルの上を指差した。
「えっ、でも……」
指差されたテーブルの上とキッチンとを交互に見つめ、トーマは困ったような声を漏らす。