銀色の月は太陽の隣で笑う

それでもルウンは、トーマを見上げてテーブルの上を指差し続けた。

やがて、苦笑気味にトーマが折れる。


「じゃあ、お願いします」


ルウンがコクっと頷くと、トーマは手にしていた食器をテーブルの上に戻して、先ほどとは打って変わって足取りも軽く階段を上っていく。

そんなトーマを見送ってから、ルウンは食事を再開した。

タッタッタッと軽快に階段を駆け下りてきた足音が、またすぐに同じ音を立てて上っていく。

繰り返されるその音は、不思議と心地よくルウンの耳に響いた。

今までは一人でいるのが当たり前で、当たり前過ぎて、それに対して何か特別な感情を抱くことはなかったけれど、同じ空間に誰かがいるという事が、一人ではないという事が、不思議なほどに心を沸き立たせる。

初めてのその感覚が、内側からほんわりと、ルウンの小さな体を温めた。

タッタッタッと軽快な足音を聞きながらカップを傾けると、程よくぬるまったミルクが、溶け込んだ砂糖の甘さを引き連れて喉を伝う。

じんわりと染み込んでいく甘さに疲れも癒されて、ルウンは空になった二人分のカップと食器を手に立ち上がった。





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