銀色の月は太陽の隣で笑う
トーマが一階から苦労して持ってきた机も、造りがしっかりしていて、この先何十年でも余裕でもちそうな力強さがあり、揃いの椅子の方は、背もたれに繊細な掘り細工が施されている。
「トウマの、枕元に置く?」
「……遠慮しておこうかな。威圧感が凄すぎて眠れなくなりそう」
じゃあこっちに、とルウンが指差したのは窓の近くで、部屋の最も奥まった壁際。
「好きに、使って」
「いいの?ありがとう」
トーマが重たい机を何とか部屋の奥に設置すると、ルウンが揃いの椅子を運んでくる。
二つ合わせると、薄暗い屋根裏には不釣合いな重厚感が漂った。
「早速だけど、ちょっとだけ座ってみてもいい?」
なんだかワクワクした顔のトーマに、ルウンは不思議に思いながらも頷いてみせる。
椅子から離れたルウンに代わって近づいたトーマは、慎重にそこに腰を下ろした。
そうやって立派な机に向かっていると、“物書き”と言う言葉がよく似合う。
着古した旅装ではなく、ラフでも仕立てのいい服を着ていれば、きっと更に。