銀色の月は太陽の隣で笑う
少女は、肩から零れ落ちた自分の髪をすくい上げた。
「それから、瞳の色も」
自分の髪をまじまじと見つめていた少女が顔を上げると、トーマとバッチリ目があった。
「パッと見は青いけど……でも、こっちも銀が入っているね。神秘的な色だな……。こんな綺麗な瞳は初めて見たよ」
まじまじと覗き込むように見つめられて、少女は思わず目を逸らす。
「ああ、ごめん!つい」とトーマは慌てたように、乗り出し気味だった身を引いた。
「それでね、お願いがあるんだけど……」
遠慮がちに切り出したトーマに、少女はおずおずと視線を戻す。
「もし良かったら、キミの話を聞かせてくれないかな」
何を言われているのか分からなくて少女がキョトンとすると、トーマは手に持ったままのノートに視線を落とした。
「森の奥、廃れた洋か……あっ、ごめん。えっと……趣のある、洋館!」
先ほど自分が書いた文字、少女にはミミズにしか見えないものを、トーマは当然のようにスラスラと読み上げていく。