It's so hopeless



空では夕焼けが夜の闇に侵食され始めていた。



今日のお喋りはもうそろそろお開き。





「ソラ、じきに夜になる…。日が完全に落ちる前に、この庭を出るんだ」



ロイはいつものように私に告げる。




「うん…。じゃあまた明日」




私はロイの言葉に従う。

何故かはわからない。従わなければならない…そう心が告げている。



去り際、ロイの包帯だらけの腕を握った。


痛かったのか、ロイは一緒びくっとした。



「――あ、ごめん少し驚いた。


さぁ…急いでソラ。早く」



華奢な腕に背中を押され、私は駆け出す。




薄暗く、走りにくい石畳。這うように石畳を伝う蔦に何度も躓きそうになりながら、私は箱庭をひた走った。






日の光が消えていく。



ゆっくりと、しかし確実に。




薄闇の中で見る箱庭はひどく不気味に見えてしまう。



白い石で精巧に作られたガーゴイルの石像は悪魔や邪神のように箱庭を彩り、赤く美しい薔薇さえも邪悪なものに感じてしまう。








ロイ…。







走りだした足は止まらない。



そのまま光に包まれて、場面が変わる…。









光が消える頃、私はきっとセピア色の森。
< 11 / 77 >

この作品をシェア

pagetop