It's so hopeless
空では夕焼けが夜の闇に侵食され始めていた。
今日のお喋りはもうそろそろお開き。
「ソラ、じきに夜になる…。日が完全に落ちる前に、この庭を出るんだ」
ロイはいつものように私に告げる。
「うん…。じゃあまた明日」
私はロイの言葉に従う。
何故かはわからない。従わなければならない…そう心が告げている。
去り際、ロイの包帯だらけの腕を握った。
痛かったのか、ロイは一緒びくっとした。
「――あ、ごめん少し驚いた。
さぁ…急いでソラ。早く」
華奢な腕に背中を押され、私は駆け出す。
薄暗く、走りにくい石畳。這うように石畳を伝う蔦に何度も躓きそうになりながら、私は箱庭をひた走った。
日の光が消えていく。
ゆっくりと、しかし確実に。
薄闇の中で見る箱庭はひどく不気味に見えてしまう。
白い石で精巧に作られたガーゴイルの石像は悪魔や邪神のように箱庭を彩り、赤く美しい薔薇さえも邪悪なものに感じてしまう。
ロイ…。
走りだした足は止まらない。
そのまま光に包まれて、場面が変わる…。
光が消える頃、私はきっとセピア色の森。