It's so hopeless
「じゃあ、ヒントを頂戴。
住んでる場所は?」
言うべきか言わないべきか…。
“白い箱庭”は余程のことがなければ人も寄り付かないような場所。
人は箱庭を恐れている。
怪物がでるとか、帰ってこれなくなるとか、奇妙な噂が囁かれている程に。
実際はそんなことないのに。
誰も真実を知ろうとしない。噂に流され、恐れをなす。
セツさんなら信じてくれるだろうか。
私は悩んだ末、おずおずと口を開いた。
「―――白い箱庭」
一瞬だけセツさんの表情が固まった気がした。
しかし、すぐにいつもの柔らかい表情に戻る。
「白い箱庭…か。
大丈夫かしらね、友達。
噂の怪物に捕らえられてしまってたりして」
セツさんは軽い冗談を言ったようだ。
しかし、“捕らえられて”という部分がどうも引っ掛かる。
言われてみればロイは囚われの身。
誰にどうして囚われているのか…私にはわからない。
ロイは自分の境遇を決して語らない。
私が聞いてもはっきりとした答えは返ってこない。いつだって曖昧。
一体何を隠してる?
私に言えないことって何?