It's so hopeless
「ソラ…?」
セツさんの声ではっとする。
私は考えだすと中々止まらない。
よくぼーっとしているようで、テトラによく小馬鹿にされるくらいだ。
「ちょっと考え事してました。
そろそろ行きますね」
私がそう言うと、セツさんは心配したような顔を見せた。
「気をつけてね。
友達によろしく」
セツさんの声に背中を押されながら、私は星屑の泉を後にした。
いつもの籠には朧気に光る星屑。
微かに竪琴の音色が聞こえる。
セツさんは今日も泉のほとりで竪琴を奏でる。
竪琴の音色は星屑に影響を及ぼす。
光を失いそうな星屑も、竪琴の音色で光を取り戻す。
星屑の管理がセツさんの使命。
いつでもこの泉のほとりで星屑を眺めている。
沈んだり、浮かんできたり。
瞬いたり、消えたり。
星屑は誰かの夢の欠片。
叶わなかった夢の欠片。
叶った夢は星になれるけど、叶わなかった夢は行き場所を失い星屑になる。
それらが自然とこの泉に集まる。
微かな光でも、集まれば確かな光になる。
いつかの誰かの夢。
星屑の泉で光を灯す。
竪琴の音色が遠くに聞こえた。