It's so hopeless
鳥籠の鍵
「ロイー。来たよ」
私が籠をぶら下げロイの鳥籠に駆け寄ると、ロイははっとしたように顔を上げた。
白い髪がふわりと揺れる。
「ソラ……来てくれてありがとう」
今日のロイは昨日とどこか違っていた。
私は無性に不安になり、ロイの手をとった。
「―――何…?」
ロイは突然私が腕を掴んだので、驚いているらしかった。
当たり前だ。
ロイは巻いた包帯で目が見えない。
「あ…ごめんいきなり―――!?」
謝りながら、掴んだロイの腕を見て私は驚いた。
普段真っ白なはずのロイの腕の包帯。
何故か今日は赤い…。
血…。
血の赤に間違いない。
私は動揺してしまった。
一晩の内に何があったのか…。
「ロイ……。どうして腕に血が…」
私の声は震えていたに違いない。
ロイは少し考え込んでから、ようやく重い口を開いた。
「どうしても外に出たくて、錠前を壊そうとした。
でもできなかった…」
ロイは寂しそうに口元を歪めた。
私の胸は痛む。
「無理しちゃ駄目だよ…。ロイが傷つくの怖いよ」
私が言うと、ロイは下を向いてしまった。
泣いているのかもしれない。
抱き締めてあげたいけれど、鳥籠の柵が邪魔をする。