It's so hopeless
「なんだろう…此処」
私はこの場の雰囲気の異様さに言葉を忘れた。
白い景色。
純白とは違うが、程よく燃費が入ったような白。
白い景色を彩る赤は美しい薔薇。
石畳の道の脇に綺麗に咲き誇る。
「歌声、聞こえなくなっちゃった…」
私は少し残念だった。
折角歌声を追い掛けてきたのに…。
歌声に導かれるように歩いていたら、光の道筋に入ってしまい、気が付けば知らない庭。
「少し探検するかっ」
行き当たりばったりなタイプの私は、折角なので庭を調べ歩くことにした。
石畳の道は一本道。
道順に従いまっすぐ歩む。
所々、薔薇の絡み付いたアーチがある。
薔薇の朿に気を付けながら潜った。
少し進むと、水の音が聞こえてきた。
噴水だ。
白い噴水。
架空の生き物をかたどった彫刻の口から水が流れている。
小規模だが、風流。
私は暫く噴水の縁に座り、水の流れに耳を傾けていた。
まだ時間は早い。
開いた懐中時計はまだお昼を指している。
「まだまだ時間はあることだし…此処を満喫しようかな」
寂しさからか、独り言の多くなった私はまた立ち上がり歩きだす。
籠のクッキー。
そろそろ食べようかな…。
段々小腹が空いてきた。