It's so hopeless
「ソラ…。どうしてそんなことを?」
ロイは消え入りそうな声で呟いた。
ロイ…。
君は今どんな顔をしているの?
その包帯に隠れた瞳は何を映しているの…?
「―――約束。
私がロイの鳥籠の鍵を見つけるの。
そうしたらロイは自由になれる。自分の目で世界を見渡して、自分の足で世界を歩けるようになる。
叶わない夢なんてない。
願ってはいけないことなんてない。
私はそう信じてるから」
一陣の風が白い箱庭を吹き渉る。
揺れる薔薇園。
風に靡く私とロイの髪。
沈みゆく夕陽はどこか名残惜しそうに最後の輝きを放つ。
「………ソ、ラ――」
途切れ途切れ。
ロイは肩を震わせていた。
言葉を紡ごうと、口を開きかけるが叶わない。
「ロイ…泣いてるの?」
私の問いかけに、ロイはしきりに首に振って否定する。
「―――ソ、ソラ…が………そんなこと言うから――誰にも…そんなこと、言われたことないのに」
声を震わせるロイ。
“それを泣いているって言うんだよ…”
私は口から出そうになった言葉をそっと飲み込み、ロイを見守った。
地平線に消えていく夕陽を背景に、涙を流すロイはとても絵になりそうだった。
幻想的な絵画を前に、私も自然と涙していた。