It's so hopeless
少しして、落ち着きを取り戻したロイは深呼吸を一つ。
「はぁ………。
ありがとうソラ。
僕にそんなこと言ってくれたの、君が始めてだよ」
“きっと優しい顔をしているんだろうね…ソラは”
そう呟いてロイは儚げな笑顔を空に投げる。
痩せ形なロイは首も細い。
骨張り、血管が浮き出している様から無駄な肉はついていないらしい。
きっとロイは自分の顔すら見たことないんだ…。
私はロイと薄暗くなり始めた庭で柵越しに寄り添った。
こんな時間まで一緒にいるの…初めてだ。
普段なら今頃セピア色の森を抜け、家に向かっている頃だろうか。
「―――何か、無理言ってごめんね」
私の口から自然と零れた言葉。
ロイは振り向いて優しく笑った。
「無理なんかじゃないよ。むしろソラには感謝してる」
ロイは私があげた星屑を取り出した。
ほのかに光るそれ、薄闇の中では小さな灯りになる。
「これ…今も光ってる?」
ロイが私の目の前に星屑を掲げて確認する。
星屑はロイの手で確かに輝きを放っている。
小さいけれど、辺りを照らす淡い光。
「光ってるよ。ちゃんと」
私が言うと、ロイは嬉しそうに頷いた。
「いいこと考えたからさ」
ロイは言い残すと、鳥籠の中央へと引っ込んだ。