It's so hopeless
夜の訪れ。
私たちを照らす灯りは月と星……、そして手元の星屑のみ。
「―――トランプ…、コップ…、画用紙…」
中々丁度いい紐が見つからない。
ロイはしきりに首を傾げ、“おかしいな…。確かにあるはずなんだけど…”と呟いては、地道な作業に没頭している。
私もそんなロイの頑張りを見て、一緒になり宝箱を漁る。
じゃらじゃら、がしゃがしゃと音がする。
紐か鎖…らしきものはどうやら奥の方に埋まっているようで、中々姿を現してくれない。
暗い中、一つ一つ手にとり眺めて確認する。
単純な作業だが、本物の宝探しのようでなんだか楽しい。
今の私はにこにこしながら作業しているに違いない。
「ソラ。紐には関係ないんだけど、これ見てくれる?」
ふいにかかったロイの声。
ロイの手の中の物…。 丸くて、小さくて、透明だった。
これは――
「ビー玉…」
私が呟くとロイは手の上で小さな硝子でできたそれを、器用に転がして眺めていた。
透明な硝子の中に空色が閉じ込められている。
何の変哲もないただのビー玉。
しかしロイが持つと不思議なことに、それだけで宝石のような価値あるもののように感じる。
「これビー玉っていうんだね。何だか好きなんだよ、これ」
ロイははにかむと、また作業に移っていった。
そんな大切な宝物を私に見せてくれたことが堪らなく嬉しかった。
今日のロイはいつもより私に心を開いてくれている。