It's so hopeless
私はむっとしてテトラの自慢の尻尾を掴んだ。
ふさふさして可愛いらしい尻尾は、私の手から逃れようと左右に揺れる。
「ソラ止めろぉー。
放せったら放せっ」
テトラがあまりにも必死だったので、私は仕方なく放してあげた。
テトラは後ろ足で器用に立ち、息を整えている。
相当焦ったらしい。
それがあまりに滑稽で思わず私は吹き出してしまった。
「何だよっ」
テトラは前足を組んでふんぞり返っている。
どこまでも面白い“お子様”だ。
「だってテトラの行動が面白いんだもん。
お子様だなーって」
私の言葉にテトラはぴょんぴょん跳ねて反論する。
さすがキツネ…身軽だ。
「ソラに言われたくないしっ。
俺はお子様じゃないのー」
「失礼な。お子様丸出しテトラめっ」
私とテトラ…。
またいつもの言い争いが始まる。
段々言うことが尽きてくると、“馬鹿”“阿呆”などいった言葉の掛け合いになってくるのは当然のこと。
そうして結局飽きてしまうので、口喧嘩は自然消滅するのがオチ。
「そ、そうだ…。
ソラ、お前また“白い箱庭”に行くのか?」
戦意喪失したテトラは、私を丸い焦げ茶色の瞳で見つめた。