It's so hopeless
悠久の時計塔
朝の眩しい光に、私の目は眩んだ。
温かい朝。
穏やかな輝き。
昨晩私たちを照らした星屑は太陽の光に負けてしまっている。
気になって見てみると、ロイは穏やかな寝息を立て眠っていた。
また包帯に血が滲んでいる。また出ようとしたのかな…。
今日から私は色んな場所を訪ねてみようと思う。
ロイの鳥籠の鍵の手掛かりが見つかるかもしれないから。
私は世界をふらふらと遊び歩っているお陰で、至る所に知人がいる。
変り者が多いが、悪い人はいない。
今日は“悠久の時計塔”に行こう。
永遠に等しい時間、時を刻み続けている時計。
塔内にはいくつもの文献が納められていることもあり、何かしら手掛かりが見つかりそうだ。
「ん……ソラ、もう起きたの?」
ゆっくりと辺りを見回し、ロイは静かに起き上がった。
左腕が痛むのか、私にばれないようにこっそりと庇っている。
私はロイのため、気付かないふりをして“おはよう”と挨拶した。
「昨日はありがとう。
ソラはもう此処を発つ?」
ロイには何でもばれる。
私が出かけようとしている雰囲気を感じ取ったのだろうか。
「うん。
今日は“悠久の時計塔”に行ってくるね。
そこは期待十分だよ。
物知りな知人がいるし、数多くの文献がある所なんだ」
私が言うと、ロイは大きく頷いた。
「ありがとう。
僕待ってるから…ここでソラのこと待ってるから。
無茶だけはしないで…」
“いってらっしゃい”
ロイの精一杯のありがとうが私の足取りを軽くする。
「いってきます」
今踏みしめる大地。
ロイの声に背中を押され、私は“悠久の時計塔”へと歩きだした。