It's so hopeless







ギシギシ……




軋みながらも歯車は回転を止めない。


幾重に重なり合い、互いに噛み合う。



昔はこの歯車の軋む音が不気味で怖くて、よく耳を塞いでいたっけ…。





塔の最上階に存在する古びた鐘は今となっては鳴ることはない。


時計の文字盤の上で寂しげに吊り下がっている。




私はこの時計塔のアンティークな外観に、毎度毎度驚かされている。




主に煉瓦でできている大きな時計塔。



こんなおんぼろ時計塔。
普通なら人がいるようには思えない。







ギィ……




立て付けの悪そうな木の扉。


開くときの不快な音を何とかしてほしい…。






塔内は定間隔に設置されたランプの灯りでぼんやり照らされている。


内装は外観とは違い、そこまで古いものでもない。


エントランスの中央に位置する大きな螺旋階段。
綺麗に装飾されている上、頑丈そうだ。







「ゼロ、いるー?」




私は時計塔の唯一の住人の名を有りったけの声で叫んだ。





塔内で反響して煩い。
少しやりすぎてしまったかもしれない。





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