It's so hopeless



「白い箱庭…。
題名そのまんまだな」



ゼロは私に一冊の分厚い本を差し出した。
古そうな白い本。



「ありがとう」


手にずっしりとくる本の重さ。




何か手掛かりがありますように。




ただそう祈り、表紙を眺める。

白い表紙にはただあの場所の名が印されているだけだった。







「どれどれー?
俺にも見せて」



身を乗り出すゼロに急かされ、捲る表紙。




高鳴る胸の鼓動。


期待に胸を膨らませ、開く1ページ目はまさかの白紙。





「……え?」


私は戸惑いながらもページを捲る…。





白紙白紙白紙白紙…。



何これ…。



「こんなことって…」



ゼロと私は顔を見合わせた。






折角ロイを助ける手掛かりに近付けると思ったのに…。




私は今どんな顔をしている?



目の前のゼロの慌てたような顔。



鼻の奥がつんとする。





そうか、私は泣いているんだ。




それほどまでに私はロイを助けることに必死だった。



ゼロの時計塔に手掛かりがないなら、私はどこを探し歩けばいいのだろう。





溢れた感情。
止まらない涙。





「泣かないでよ……ソラ」


あたふたとゼロは、私を慰めようとしてくれている。



“誕生日なのに迷惑かけちゃってごめんね…”




< 48 / 77 >

この作品をシェア

pagetop