It's so hopeless
「ゼロ…?」
私が声をかけると、ゼロは取り繕うように笑った。
「この歌の歌詞が気になる…。もしかして古の歌かもしれない。
ロイはこの歌については何て?」
思い出せる記憶…。
ロイはこの歌を自分自身よくわかっていない。
「ロイは…この歌をよく知らないんだ。
自然と口ずさんでいたんだってよ…」
私はあの日のロイの歌を思い出した。
頭でリピートされるあの旋律…。
「そうか…。
幾つか引っ掛かる点があるな。
たぶん歌と白い箱庭とロイには何かしらの関係がある。
俺、調べてみる」
ゼロが机の上に無造作に置いてあった黒縁の眼鏡をかけた。
いかにも賢そう……否、実際に賢いのだが。
「ありがとう、ゼロ」
私が礼を言うと、ゼロはとんでもないと手を振った。
「ありがとうなんて……照れるから。
それにわざわざ来てくれたのにこれといって収穫もなしだろ?
次、ソラが来るときまでに何か手掛かりを見つけておくよ」
ゼロは私に紅茶とケーキを勧めながら言った。
そういえばまだ飲み終わってなかったんだ。
また紅茶をいただく。
時間の経過のため冷めてしまっていたが、美味しさは変わらなかった。