It's so hopeless
窓から差し込む夕日。
どれだけ長い間此処で過ごしたんだろう…。
調べ物が終わった後は、暫く二人で他愛もない会話に花を咲かせていた。
ゼロの話は純粋に面白い。話の筋道が通っているからか、話上手なのだ。
話に魅了されるとはこのことを言うんだろう。
パタパタパタ…
下の階で幾つかの足音。
急に騒がしくなった。
「お?
ちびっこが来たみたいだな。
ちょっと声かけてくる」
部屋を出ていくゼロは心無しか嬉しそうだった。
部屋が茜色に照らされて、一人感傷に浸る。
床に積まれた本の山が作りだす影。
幻想的な夕暮れ時。
「ああ…私、もう帰らなきゃ」
ロイの姿が浮かぶ。
寂しげに膝を抱いている儚げな姿。
椅子からゆっくりと立ち上がり、部屋を出る。
螺旋階段を下っていくにつれ、ゼロの声と幼い声が聞こえてくる。
「ゼロ、私帰るわー」
ゼロは私を振り返り、残念そうに笑った。
「ゼロ、彼女ぉー?」
ちびっこ達に冷やかされ、ゼロはむきになっている。
お仕置きにでこぴんまで食らわす始末。
「ゼロのいじめっこー。
俺たち誕生日祝いに来ただけなのにぃ」
ちびっこに野次を飛ばされ、ゼロは言い返す言葉がないようだ。