It's so hopeless
ふとキーアは思い出したように、手を叩いた。
翡翠の瞳に夕焼け色が射して、きらきらと美しく。
「そうだっ。そうだよっ。“真実の廻廊”に行ったらどうかな?
あの場所は不思議で奇妙だけど、たくさんの扉があるよね。扉=(イコール)鍵だから……」
無邪気に言うキーアに私は考えさせられた。
“真実の廻廊”
確かにあそこは扉の数が半端ではない。
扉=(イコール)鍵だなんてキーアらしい考え方だ。
ただしあの場所は、常識や固定概念を根本から覆される…。
奇妙な空間。
ゼロを凌ぐ変な管理人までいる。
やはり躊躇してしまう。
「ん……どうしようかな」
私の呟きに、キーアはにこりとする。
「行ったらいいじゃん。何か行動を起こさなきゃ何も始まらないっ」
確かにそうだ。
私は何を迷っているの?
ロイを助けるって決めた。
ならば今更躊躇している暇なんてない。
進まなければ何も変わらない。
ロイはあの白く孤独な世界で一人、暗闇と戦っているというのに私は……。
「キーア。ありがとう」
すくっと立ち上がり、さっと服についた砂を払った。