It's so hopeless
「アルファは私の真実を知ってるの?」
「さぁ、どうだか」
アルファは不敵に笑う。
「真実は他人に聞くものじゃないさ。自分で探し見つけるものだよ。
この数ある扉のどれかが君の真実だ」
アルファは私の手をしっかりと握り、床を蹴った。
一気に天井まで飛躍する私とアルファ。
ふわふわと重力を失ったこの空間。
常識なんて通用しない不思議な塔で、不思議な管理人に手を引かれる。
「ソラが望む真実の扉はどれかな?」
アルファがぱちんと指を鳴らすと、塔内に大きなシャボン玉が出現した。
「どうせなら楽しい方がいいだろう?」
アルファは子供の様にシャボン玉へダイブ。
「へへっ。じゃあ私もー」
私もアルファに習い、ダイブ。
虹色のシャボン玉。
ふと私の脳裏にロイの姿が浮かぶ。
――交したあの約束。
鳥籠の鍵の在処を示す真実は何処に…。
「私ね…。ある鍵を探してるんだ。
ゼロにも手伝ってもらったんだけど中々見つからなくって…」
私は空中を泳ぐように進みながら扉を探す。
「鍵ねぇ…。
あの“時の悪魔”も知らないのか…」
アルファは宙を漂いながら胡坐を組み、首を捻る。
「この膨大な数の扉の中からただ一つの真実を見つけることは至難の業だよ。
世界が生まれたその瞬間から、この扉は無限に増え続けているんだ。この塔も外観は変わらないのに、塔内のドームは無限の広がりをみせる。
それに…」
アルファは勢いよく近くに浮かんでいた扉を開いた。
扉の向こうは漆黒の闇…。
「これも真実…?」
私は扉の向こうの暗黒に寒気を感じた。
身体中にまとわりつくような重苦しい空気が扉から溢れてくる。