It's so hopeless
「――ソラぁー。
停止したよ?」
聞き覚えのある声。
「―――っ!?」
驚いて飛び起きた私の目の前には、似たような人物が二人……。
「リゲルっ!
シリウス!」
私のオーバーな反応に、リゲルはやれやれと肩を竦めた。
そんなリゲルの隣でくすくすと笑うシリウス。
そう、これが現実。
さっきのは回転木馬が私に見せた幻…。
「――あれ?ソラ、泣いたの?
ちょっと目が腫れてる」
シリウスが私の顔を見て、不思議そうな顔をする。
「あ、本当だ。大丈夫か?」
シリウスとリゲルに顔を覗きこまれ、恥ずかしい私は照れ笑い。
見渡せば、いつの間にか、辺りは薄明るくなり始めていた。
「――あ。
もう夜明けだ。
本日の営業はここまでだな」
リゲルの言葉を合図に、遊園地中の電飾の光がゆっくり点滅を始めた。
閉園の時間。
夜にしか開園しない遊園地。
世界に光が戻ると同時に、遊園地の電飾は完全に消灯する。
太陽の下で見る遊園地はただの錆びれた小さな遊園地。
「月の魔法なんだよ。光と影が、この淋しい遊園地に命を与えるの」
悪戯に笑うシリウス。
目の下のアザが可愛らしい。
「じゃあ、またいつでも来いよ」
リゲルとシリウスに見送られ、私は君のもとへと急ぐ。
不思議な、長い夢を見た。
それは幼き日に見た景色にどこか似ていた…。