It's so hopeless




辿り着いた“白い箱庭”は普段と変わらずに物寂しく、どこか狂気を醸していた。



おどろおどろしい庭。
どこか物悲しい、作られた牢獄。




蔦が這う石畳の道に沿うように並ぶ、不自然な程精巧に手入れされた深紅の薔薇の木々。



至るところに設置された架空の怪物を模した石像は、光の籠もらない石の瞳で私を監視する。




この不気味で異様な庭の景色が私を追い立てているように思えてくる。




「――こんな薄気味悪い庭…誰が作ったんだろう?
こんな場所にロイを閉じ込めるなんて、きっとひどい人だろうな…」




やがて見えてくる噴水。
枯れることないここの水は、止まることない旋律を奏で続ける。




あと少し…。
あと少しでロイのいる鳥籠だ。





「――ロイ?」



白いベンチの先。
白く大きな鳥籠の中、白い君が小さく動くのが見えた。





やっぱりロイはロイだ…。

ロイは私の大切な友達。




「ロイーっ。遅くなってごめんね」



私の声にすっと立ち上がったロイ。

白く柔らかい髪の毛をそよ風に揺らし、どこか神秘的な雰囲気を纏っている。



「ソラ、ありがとう。待ってたよ」



少し擦れたようなロイの声。
その優しい響きに、私の不安は一瞬でかき消された。



「うんっ。今そっちに行くからー」



私はロイの鳥籠へと駆け寄った。


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