溺愛なんて聞いてない!

いつもと同じ、いつもの飲み会。
で、隣にはいつも同じ同期の佐々木。


特に何も変わらないはずなのに、今日は何故か煌の言葉をいちいち思い出して気分が乗らない。
忘れたことは無いけれど、ここまで思い出すことも最近では無かったのに。

煌の言葉はどこまでも人を貶める。


『いいか、酒は絶対に飲むんじゃねぇぞ。酔って可愛くなるのは元から可愛いからだ。ぶっ細工は酔ってもぶっ細工なんだよ。むしろ公害だ。だから、お前は飲むな』


ほら、まただ。
せっかくの飲み会なのにな。


煌、どうやら私は飲んでも変わらなかったみたいだよ。酔ってる様に見られなければいいよね。


事あるごとに煌の言葉で自分を顧みて、落ち込んでしまう。
こんな事、いつまで続けるんだろう。



美味しい手羽先を食べていても何故か今日は気分が乗らない。



「ね、佐々木。何かお話して」

「は?」

「えっとね、じゃあお題。自分をイケメンだと思った瞬間。はいどうぞ?」

「どんな無茶振りだよっ!アホ」

「えーつまんなーい」

なんだよ、ノリ悪いな。

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