溺愛なんて聞いてない!

『一花ちゃん?』

「っ、はい?」

『本当にごめんね。で、もうひとつごめんっ!』

「えっ?何?」

『煌が煩くって』

「はい?」

『本当、ごめん!謝ったからっ!じゃっ!』

プッ、と通話が途絶えて無機質な音が聞こえてくる。

「えっ?雛ママ?あれ?雛ママ?」

言い逃げするように謝られても。


切れた携帯をぼんやりと眺めながら嫌な予感しかない。
私と雛ママのやりとりを無言で見つめていた煌に答えを求めるように顔を向けた。

いや、本当は分かってる。
だけど、分かりたくないっ!





広々としたソファーに深く座り、長い足をゆったりと伸ばした煌が、獲物を捕らえて満足そうに私に笑顔を向けた。



「一花、これから宜しくな」



宜しくなんてされたくなーーーい!



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