溺愛なんて聞いてない!
空になったお弁当を筒みごと私に手渡して煌は席をたった。
残ったのは眉を寄せた佐々木と、ひたすら悔しがる私だけで。佐々木に弁解する余裕もなくなっていた。
私が望んでお弁当を作ってるやけじゃないじゃない!
食べてくれなんて、言ってない!
気持ちを落ち着けるためにも小さく息を吐く。
いつもの事じゃない。
煌が私を否定することなんて。
それが、唯一の自慢だったとしても。
目尻に集まる熱を必死に気付かないふりをした。
「…………二ノ宮?」
「っ!!!ごめっ、佐々木。やっぱりお弁当止めとけば良かったね。もう無理しなくていいからね」
「おいっ、」
「又ちゃんと説明するから。ごめっ、黙っててくれると嬉しいかな」
「…………分かった。今日飲みに行くぞ。北王子居ないんだろ?18時にエントランスな」
「えっ??」
「話しはそんとき聞くから」
「うん、ありがと」