溺愛なんて聞いてない!

どうしようっっ!!
どうしたらっっ!??

言っても言わなくても怒られる!
ってゆうか、怒られる意味が分かんないけど、長年の主従関係が身に付きすぎていて逆らえないっっ!


意を決して口を開きかけたその時、店員さんの大きな声で遮られる。



「お待たせしましたー梅酒の水割りです!」


きゃーーー!!!
お酒飲んでることがバレるーーー!!!


「あ、ありがとうございます」

携帯から口を離して、小さい声で慌てて一言テーブルに置いて貰うようにお願いした。

その間、煌の無言の圧力が電話ごしからもひしひしと感じる。


「………………こ、煌?」
『店、何処?』

「えっとね、大丈夫だよ?」

酔ったりしてないから。
そんな意味を込めた“大丈夫”は全く通じなくて。


煌の落ち着いたテノールの声が低くなった。

『……店、早く』
「はいっっ!会社近くのf。って所。で、でもね大丈夫だよ?私飲んでも変わんないから!酔っぱらわないよ?」

『何言ってんの。ばかなの?』
「迷惑かけなきゃ大丈夫でしょ?」


しばしの沈黙の後、耳元で煌の大きなため息がひとつ。


『何言ってんの。本当ばかなんだから。とにかくその梅酒、絶対に飲むなよ』

肯定された!


「…………はいぃ」


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