溺愛なんて聞いてない!


プッ、と通話が終了して無機質な電子音が響き緊張がとけた。

怖かった……。


「………………なぁ」

!!っ、佐々木の事忘れてた!

「ご、ごめんっっ!もしかしたら煌が来るかもしれない」

「は?」

「いや、分かんないけど……多分」

「なんで?」

「…………さぁ?」


そうなんだ。
過去の事例を思い出してみても、不機嫌な煌に居場所を聞かれたとき必ず煌は私を迎えに来た。
それはそれは理不尽な理由で。
迎え…………強制送還?だな。


「何しに来んの?」

「うーん……何だろ。いつもは自分のご飯が無いときや暇なときとか?あ、アイス買ってこいって言うのもあったかな」


慌てて皆に別れを告げて、駅前のコンビニアイスを買いに行ったら煌が居た。
『遅すぎなんだけど、』なんて不機嫌に言い放って、
『俺の事待たすとか、ばかじゃないの?』なんていつもの暴言を聞いて、視線は煌の手の中にあるアイス。
「だったら最初から自分で買いに来てよ!」
とキレたのは1度や2度じゃない。


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