溺愛なんて聞いてない!

次の日の朝、昨日の事は無かったことにして忘れた振りをしながら一緒に登校していた煌と教室に入った。

私はいつものように友達と挨拶を交わし、席に座る。煌は図書室へ行くと出ていった。それを見ながらランドセルの中身を出し、後ろのロッカーにランドセルを片付けていたとき、廊下が騒がしくなった。
大きな笑い声と走る足音。
扉をバンッ!と叩く音と共に現れたのは昨日のあの子達だった。


「いぇーい、俺いっちばーん!」
「っ、はぁはぁ……負けたーくそー」
「はいはいお疲れ」
「何だよー競争って言ったじゃんよー」
「そうだぞー走れよお前も!」
「えーやだよ。朝から疲れる」


いつもいつも騒がしい彼らはクラスの中心的存在で、何かと目立っていた。

煌はどちらかというと群れるタイプでは無かったがその容姿の良さと頭の良さ、小学生にありがちなスポーツも出来るという非の打ち所のなさで裏ボス的な存在だった。

既に隠れファンクラブがあったとか無かったとか。

だから彼らがどんなに騒いでも自分に被害がなければ煌は無関心だった。

私はというと、彼らをみた瞬間あの恥ずかしかった事を思い出してしまい、なるだけ視界に入らないように今日は関わることを止めようと誓っていた。

なのに、目ざとく私を見つけ意地悪な笑みを浮かべながら彼らは私の机を囲んできたのだ。


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