溺愛なんて聞いてない!

私はというと、煌に見られたことが知られたことが恥ずかしくて、更に目の奥から涙が溢れて来るのを必死で我慢していた。

だって、泣いたりなんかしたら又煌に怒られる。


「き、北王子……。な、なんだよ」
「そうだよ、お前関係ないだろ?」
「そ、そうだそうだ。向こういってろよ」


あきらかに動揺している彼らに畳み掛けるように煌が追い詰めていく。

そうだ。
このときに私は煌に勝てない、なんて負けをハッキリと認めてしまっていた。

大好きな煌。
家族として、異性として、幼馴染みとして、理由なんて何だってよかった。煌が好きなことには変わりがないんだから。

だけど煌に対して少なからず対等意識を持っていた筈。
もしくは食事の世話をしている分なんだかんだ言って私の方のが優位に立っている気がしていた。この時までは。

なのにあっさりと「あ、煌に逆らうのは無理だ」なんて心のなかで敗北宣言していたんだった。


あぁ、それからだ。
この忌まわしい自他ともに認める主従関係は……。


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