溺愛なんて聞いてない!
昔の事は忘れたい!(2)
中学に上がっても、煌までにはいかないものの立花君は相変わらずクラスの中心にいて、あの頃より格段に落ち着いた彼は爽やか系イケメンとして人気があった。
そんな彼がかまうのが又もや私。
いや、私とみなみちゃん。
私達は同小出身という関係なだけで、何も勘ぐるところなんか全く無いはずなのに周りからはヒソヒソと後ろ指を指される事も多かった。
そんな事ばっか、勘弁してほしい。
そして、その事が煌の耳に入るのもあっという間だった。
「ね、立花さー。あんたの取り巻き連中の視線がウザいんだけど」
それはいつもの昼休み、チッと不機嫌に舌打ちをしながらみなみちゃんが溢した。
いつの間にか隣の席にいる立花君と私の前の席を借りたみなみちゃんとお昼を一緒に食べるようになっていて。
「そんな事言われても……」
困った顔をして眉を下げる立花君。
少し大人になった彼は小学生時代の傲慢さも抜け、謙虚な姿勢を身に付けた。
それが爽やかだと持て囃される由縁でもある。
「モテる自覚もあるでしょ?」
「ねぇよ、そんなもん」
「うわっ、嫌味ー」
「はぁ?」
「あーやだやだ。私達は平穏に過ごしたいの巻き込まないでよ」
「ったってどうしたらいいんだよ」
「話しかけないでよ」
「はぁ!?何でだよ!」
「は?…………あぁ、そう言うこと?」
「なっ、」
「やっぱりそっかー」
「やっ、」
繰り広げられる会話の主語が無いため途中から話に付いていけなくなる。
「ね、何が?」
あ、今日の玉子焼き上手にできたかも。