溺愛なんて聞いてない!

あんな煌と生まれたときから一緒なんだ。
メンタルだけは強くなる。

言い返す事は簡単だけど、私はそれをしなかった。
私が“家族”だなんて言われなくても分かっていたことだから。

それを自分で認めていても口に出したくなんて無かったからだ。

だから私は何を言われても聞き流す。



その日の事はあっという間に広がって。
各学年の上位に当たる可愛いと噂の猛者達が煌というダンジョンを攻略にかかる。

我こそは煌の“特別”だと信じて疑わない。
どっからくるんだその自信。


尽く敗れプライドを粉々にしていく数の分だけ私への当りも強くなって。

卒業を迎えるその日まで続いたものだ。

私、女子とはみなみちゃんとしか話さなかったかも。
巻き込まれたくないと傍観を決め込んだ男子達。その中でありがたくも立花君だけはいつものように構ってくれた。


なんてイイ人なんだろう。


だけど、あの日あの時。
私は嬉しかったんだ。


私だけが煌と呼べる。
手料理が振る舞える。
煌のプライベートに関わることが出来るんだと、煌が証明してくれた。

それが家族であっても。
それが今だけだとしても。



本当に嬉しかったんだ。



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