溺愛なんて聞いてない!

そしてそれは高校に進学した後も続く。
周りからの認識は完全に家政婦で。

だけど、中学時代と違うのはこんな私にも気さくに話しかけてくれる人が増えたことだ。

煌について色々言われることも多かったけれど、気にしない友人が出来たことで私の世界は煌から広がっていった。

小さな頃からの煌への思いを完全に消すことなんて出来なかったけど、夢を見ることも無くなっていって。
このままじゃいけない!と煌を諦めていった。
立花君は相変わらず優しいし、こんな私にも話しかけてくれる男の子のお友達も出来た。

恋愛感情が生まれなくとも、煌以外の異性と話す機会が増えたことで煌との異質な関係に疲れてきていたんだ。


煌の一番近くにいるはずで、一番遠くにいた私。
そしてこの距離のまま下僕として使われ続ける未来が鮮明に思い浮かんでしまう。

煌との幸せな未来なんて妄想すら出来ないのに。



えっ、ちょっとこれって死亡フラグたってません?
このまま煌の側に居てもいいの?
いや、良くないでしょ!


そんなある意味やっと現実が見れたのは高校3年生の夏だった。
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