溺愛なんて聞いてない!
受験生という自覚はあったものの、学年トップを入学以来守り続けている煌からの厳しい監視のもと勉強を続けていた私は成績だけは良い方だった。

トップ争いに食い込むほどではなくとも10番以内にはなんとか名前を載せることは出来ていたことと、希望大学へのA判定も貰っていた事で高校3年生の夏というこの時期であってものんびりと過ごしていた夏休みだった。



希望していた大学も気付けば煌に決められていて、そしてその事に何の疑問も持つこともなくむしろ嬉しささえ感じていたただのバカだった。


何だかんだと優越感を感じていたんだと思う。
どれだけ冷たくされても、どれだけ蔑ろにされても、煌が衣食住の世話だけは私以外に任せることは無かったから。
そこに優越感を感じて、居場所を求めていたんだ。


それは夏休みのとある1日。


いつものように煌を起こして、朝食の用意をする。その後は洗濯物を干して掃除をしたら宿題を片付ける。

今日は煌も雛ママも出掛けているからお昼は私だけだ。
全く受験生とは思えないほどまったりと過ごしていた煌も週に何度か出掛けているようだった。

何処へ、なんて聞く権利は無いけれど食事の有無にかこつけて聞けども煌が答えてくれることは無かった。

そんな日。
いつものようにふらりと出掛けて行った煌を見付けてしまった。


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