溺愛なんて聞いてない!


「おはよ、二ノ宮。昨日大丈夫だったか?」


可愛い後輩の筈の茉奈ちゃんに首根っこ捕まれてギブアップ寸前な時、少し不機嫌そうな佐々木が入ってくる。

それを横目に手を軽くあげて返事をしながら茉奈ちゃんの手を無理矢理離す。
ハーハーハー。
死んじゃうから。


「先輩!!コレ、どうしたんですか!?」


茉奈ちゃんの台詞に意味が分からず再び傾げた首の襟足を今度は佐々木が覗き込む。
みるみる眉間に皺が寄っていき、バッ!と煌に向けて振り返っていた。

その様子を目を見開いて傍観する茉奈ちゃん。

そして全く分かっていない私。


佐々木に釣られて視線を向けた先にいる煌は口角を上げ、その口許だけでフッ、と笑っていた。

あ、あれは機嫌の良い笑い方だ。



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