溺愛なんて聞いてない!

ん?でも何で機嫌が良いの?
でも、今日は朝から確かに機嫌は良さげだったかも。


そんな事をぼんやり考えていると、目をキラキラさせた茉奈ちゃんがガシリと手を握りしめて大きく頷いていた。


はい?


「先輩。大丈夫です、私は先輩の味方です!とりあえず今日は髪を下ろしてお仕事しましょう」


そう言って、手を持ったまま私をトイレへと連行していった。
なすがまま、されるがままに茉奈ちゃんに着いていけば、一つで結ばれていたゴムを取られた。


「え?茉奈ちゃん?何で?」

「先輩。首の後ろにキスマークが付いてます」

「キスマーク?」

「しかも3つも」

「は?」

「身に覚えは?」

「ありませんが?」

「では、今日のお昼に聞きたいことがあります」

「え?今じゃダメなの?」

「はい」

「う、うん。分かった」

「では、とりあえず今日は髪を上げないで下さいね?分かりましたか?」

「…………はい。だけど、多分蚊、じゃないかなーって……はい。ごめんなさい。分かりました」


反論は許さない感じの茉奈ちゃんの圧力に頷くしかなくて。
先輩の威厳が全くありません。
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